干物について考えてみた
干物について考えてみた
干物をいただいたので、干物について考えてみました。
日本にはいつの頃から干物が存在するのか?
当然、まだ冷蔵庫が存在しないときに、貴重な食物を腐らせないような考えでできたのだろうからと、書物を紐解くと、奈良時代の正倉院の文章に、「キタヒ」という文字があり、これは「内臓を取らないで丸ごと干した魚」で、「アヘツクリ」は「内臓を取って干したもの」、「ホジン」は「シカやイノシシの干し肉」「スハヤリ」は「魚肉を細長く割いて干したもの」とあります。
干物は奈良時代からあったのです。そこで目を世界に広げてみると、メソポタミアではBC2千年ころに天日により食べ物を乾燥させた痕跡が見つかり、同時期にエジプトでも食べ物を塩蔵させることによって長く保存されることがわかっていました。
まさに塩干であり、現在、熱海などに旅すると道端に塩を振ったアジやカラスミを干している風景を見ることができますが、「太陽と塩」の利用、人間は4千年もの間、干物を作り続けていたのです。
さてさて、そろそろとサンマの味りん干しの甘く香ばしい香りが「美味しいぞ、美味しいぞ」とヨダレを垂らす器官を刺激し、イワシの丸干しの火にあぶられて出てきた脂がまた火にあぶられて「早く食べないと脂がなくなるぞ」と言ってきましたので、ここらでもはや見ることのできないメソポタミアの遠い地で干物文化を完成させた人間に思いを馳せ、一杯やってきたいと思います。それでは乾杯。