物件賃借と源泉徴収義務

不動産等の賃借料の支払いに際し、源泉徴収義務を伴うことがあります。賃貸人が非居住者等の場合です。

自家用車の駐車場を月額万円で借りていた場合は、税率20.42%なので、4084円を差引いて賃借料の支払いをして、差引徴収日の翌月10日までに国に納付しなければなりません。

源泉徴収義務の確認が必要

賃借物件が自己又は親族の居住用の場合は源泉徴収不要ですが、それ以外では、賃貸人が居住者・非居住者いずれであるかの判断をし、源泉徴収義務の有無を確認しなければなりません。

源泉税の納付は、1日遅れでも不納付加算税(納付額の5%か10%)及び延滞税が課せられます。ただし、5000円未満切捨ての端数処理規定があるので、ペナルティーが課せられるケースは少ないかもしれません。

源泉徴収義務の確認義務に片寄り

賃借人に、賃貸人の居住者・非居住者該当判断の調査ないし確認の義務を課す明文規定はありません。しかし、源泉徴収漏れには、強制徴収とペナルティーの制度が用意されています。

 また、源泉税強制徴収については、その後に賃貸人への支払額から控除し、又は支払請求することができますが、不納付加算税については、賃貸人に請求できる法律上の権利は存在しません。

 居住者・非居住者該当判断は、賃貸人本人が一番よく知るところあるにも拘わらず、制裁リスクを負うのは国税の徴収事務を代行させられ賃借人のみというのは不合理な話でもあります。

 それにも拘わらず、税務署との係争になると、居住者・非居住者該当判断が相当に難しくても、注意義務不十分として、納税者敗訴になることがほとんどです。

本当は法改正が必要

 とは言え、冒頭のような月額2万円程度の事例で、一般庶民を相手にした源泉徴収について税務署は厳密な執行避けています。源泉徴収しても納付する保証がなく、源泉徴収事務が混乱してしまうからで不法行為を放置している観を呈しています。

不動産業者のホームページなどでは、源泉徴収義務は法人賃借人のケースに限定とさえしています。

税理士法人SETACS